第 29 回北京オリンピック開幕 ( 2008/8/8~24 ) まであと3ケ月あまり、開幕前には、開催国の観光地、メダルの獲得予想や出場選手のことが話題になることが多いが、今回はもっぱら護送されているようにも感じる聖火リレーが毎日のように報道されている。
昨日 ( 4/24 ) のニュースで、中国外務省の定期会見によると「日本は無事に聖火リレーを繋げることが大切」、コメンテーターの識者からは「国際社会から日本の警備力が問われている」とのコメント。
別の識者からは「そもそもどうして北京でオリンピックを開催することになったのか」などというコメントも飛び出す。
2001年だったか、IOCモスクワ総会で、国をあげての積極的な誘致活動もあり、世界が注目する中、若い男女の堪能な英語のプレゼンも素晴らしく、北京が開催地に決定したと記憶している。
余談になるが、その会場では、当時の大阪市長もプレゼンされた。多くの市民は大阪市のオリンピック開催の実現を信じていなかった ( 国からも立候補するのならどうぞご勝手にと言われていたこともあり ) ので、落選にもあまり失望はなかった。
当時私は大阪市営地下鉄を通勤に利用しており、地下鉄のいたるところに「大阪にオリンピックを」というロゴマークのポスター、職員は皆胸にロゴ入りのバッチを付けていた。オリンピック開催国にふさわしい外観をということで、ウィーンの世界的芸術家フンデルトヴァッサーの設計によるごみ処理施設「舞洲スラッジセンター」を建設し、(当時は)芸術的な素晴らしい施設とマスコミにも取り上げられていた。今もその施設はマスコミに取り上げられているが、形容詞は「無駄使い、財政破綻、メタボ」などに変わっている。
話を戻すが、聖火リレーについてあたらめて調べてみた。オリンピックで聖火リレーがされるようになったのは、第11回のベルリンオリンピックからとのこと。アテネからベルリンまでの3000キロ余りを1人1キロずつリレー方式で走るというスタイルが、現代も踏襲されている。以降全ての大会で聖火リレーがあったかとおもいきや、第 21 回モントリオール大会 (1976 年 ) では、アアテネからカナダのオタワまで、レーザー光線を使い一瞬で聖火を送ったとのこと。しかし、五輪を盛り上げるためにはリレー方式のほうが効果があるようで、第 28 回アテネ大会では 5 大陸縦断の聖火リレーとなった。北京オリンピックも前回のアテネを見習ってのことだろうが、モントリオール方式だったら・・・「もしも~だったら」は決定する前のリスクテーキングを考えるとき使う言葉だが、つい考えてしまいたくなる。
聖火の起源を調べてみると、約3世紀前には「古代オリンピック」( 世界平和を願ってフランスのクーベルタン男爵らによって始められたのが「近代オリンピック」) が、古代ギリシヤのオリンピアで、神 ( 気象を支配する神ゼウスらしい ) の栄誉を祝福するものとして、4年に1度、開催されていたそうである。そして、不死身のプロメテウスがゼウスの天空から火を盗み人間に与えたことを記念して、大会中に火を灯したことが聖火のはじまりらしい。
火を盗んだプロメテウスは、ゼウスから、山頂に張り付けられ、毎日肝臓を禿鷹に食べられる(プロメテウスは不死身なので毎夜再生する)という罰を長年(後にゼウスの子でもあるヘラクレスにより解放されるまで)受けたとのこと。
人間は「火」を得て、煮炊きをし、暖をとり、いろいろなことに利用してきたが、気象や天空を支配していたゼウスは、人間が火を使うようになるとどんなことが起こるか予期し、人間のために火を盗んだプロメテウスに厳しい罰を与えたのかもしれない。
かつてゼウスも住んでいたとされるオリンポス山から採火された聖火が、無事に北京に届けられることを願いつつ・・・